【高岡市】ラーメン×おでん文化がここに 初代直弟子の味を未来へつなぐ姫野「まるなかや」伝統の味と店主の物語

富山のソウルフードのひとつといえば、誰もが思い浮かべる「まるたかや」。その暖簾分け店として知られる射水市と高岡市の境界付近、姫野の 「まるなかや」 は、県内外のラーメン好きからも特別な存在と言われています。今回は開店前の早朝、特別に仕込みの様子を見せてもらいました。普段は見られない、まるなかやの「一杯を支える舞台裏」をお届けします。

静かな厨房で始まる、マスターの仕込み時間

朝の光の中、マスターが黙々と仕込みを進めていました。まるなかやといえば、まるたかや系列でもおなじみの名物 「あぶらかす」。実はこれを、「まるなかや」では今も 店で一から手作りしているのです。「作り方?聞かれたら教えるよ。youtubeにも載っとるわ。ただしね、めちゃくちゃ大変な作業やから、そうそう真似できんがいぜ。だから教えられるんだけどね。」と、笑顔で語るマスター。

あぶらかすは、ラードを作る過程で油を抜いた脂身の残り。名前とは裏腹に驚くほどあっさりしていて、ラーメンに入れるとコクが深まり、スープとの一体感が増します。
この味を求めて、県内のラーメンファンはもちろん、他店のラーメン店主までが遠方から訪れるというのも頷けます。

「まるたかや系」でもう一つの名物 おでん

そして、まるたかや・まるなかやのもう一つの名物といえば おでん。
ラーメン屋なのに、カウンターにおでん鍋がある光景は、県外の人には驚かれるかもしれません。厨房では奥さんが丁寧に煮干しや昆布で出汁をとっておられました。「ラーメン+おでん」でしっかり満腹に。また、おでんをつまみに呑んで、締めに一杯。ここで仕事を終えた漁師さんたちが昼過ぎに一息ついて帰る、そんな光景が今も残っています。

新湊からほど近い立地だからこそ生まれた、昔ながらの店と客の距離の近さが、まるなかやの空気には今も漂っています。

マスターの人生は、まるで一杯のラーメンのようにドラマチック


マスターの人生を聞くと、この店が愛され続ける理由が自然と理解できました。学生時代は水泳一筋。国体を目指して練習に明け暮れ、強靭な体力と折れない心を身につけました。その後、大企業でマーチャンダイジングを担当。販売方法・サービスの企画・価格設定など、戦略的に売ることを極めたサラリーマン時代を送りました。人生は順調そのもの。しかし、ある日出会った「まるたかや」のラーメンが、その流れを一変させます。

「最初の一口で衝撃を受けたね。ラーメンが特に好きだったわけでもないのに、『毎日食べたい。いや、毎日お客様に出したい。』って思った。

気付けば弟子入りを申し出ていたというから、その衝撃は相当なもの。厳しい修業を乗り越えられたのは、学生時代に鍛えた体力と精神力、会社で培った思考力、そして応援してくれる家族や友人たちの存在があったからだと振り返ります。

息子へバトンを渡す準備も進む

現在も元気に厨房に立つマスターですが、過去に体調を崩した経験から「息子たちに店を託す準備も始めている。」と話してくれました。

「技術だけ渡せばいいわけじゃない。なるべくいい状態のまま店を渡したいから、おわ(俺)も店に立ちながら少しずつね。いきなりおらんようになったら寂しいやろ、お客さんも、おわも。」

ラーメンを愛し、店を愛し、支えてくれる人々を大切にするマスターらしい、温かい言葉でした。

まるなかやの一杯は味だけでなく物語も込められている

支那竹メン

ソウルフードの暖簾分けであること。
初代の弟子であるという重み。
手作りのあぶらかすという揺るぎないこだわり。
地域で育まれた食の景色。
そして、マスターの人生そのものも、店の味を支える大切なスパイスになっています。まるなかやのラーメンは、ただ美味しいだけではなく、「なぜ美味しいのか」「誰が作っているのか」その背景まで含めて愛されている一杯なのだと感じました。今日も厨房ではマスターの明るい声が響き、笑顔が咲いています。湯気の向こうでラーメンとおでんがお客様を待っていますよ。

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